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コミュニケーションを支える
文法指導(dǎo)とは
田村岳充（宇都宮大學(xué)教職大學(xué)院助教）
はじめに
本稿では，中學(xué)校の英語授業(yè)で，コミュニケーションを支える文法指導(dǎo)をどのように進(jìn)めていくのかについて，令和3年度版SUNSHINE ENGLISH COURSEの新しい紙面を紹介しながら解説していきます。新しいSUNSHINEを使って，生徒たちのコミュニケーション能力を一緒に育んでいきましょう。
小學(xué)校の英語授業(yè)にあるヒント
先日私が見た小學(xué)校6年生の授業(yè)は，児童がその日に出かけたばかりの社會(huì)科見學(xué)を話題にしたSmall Talkから始まりました。先生が，Where did you go this morning? と児童たちに問いかけると，児童たちはにこにこしながら訪問した場(chǎng)所を答えました。先生が，Oh, you went to _____. That's great! What kind of company? と続けると，児童たちは，Bus company. Truck company. などと反応しました。すると先生は，Oh, a bus company! You went to a bus company. と受け止め，Did you ride a bus? とたずねました。テストコースでバスの試乗をした?jī)雇郡沥悉丹椁摔Δ欷筏胜辏琘es! Test course! と応じました。そこで先生は，Really? You rode a bus! How big was the bus? How fast? 100 kilometers? More? 
などと返し，バスやトラックの大きさ（長さ），試乗したときのバスの速さ，距離，さらには車體の色などについて，既習(xí)の「數(shù)」や「色」の表現(xiàn)もくり返し用いながら，一般動(dòng)詞の過去形を使って児童が実際に體験したことを引き出していきました。
私が強(qiáng)く感じたのは，「小學(xué)校の先生が，文法事項(xiàng)の教え込みをせずに，児童の気づきを引き出しながら授業(yè)を進(jìn)めている」ということでした。実はここに，中學(xué)校でも大切にすべき「コミュニケーションを支える文法指導(dǎo)」のエッセンスがあると感じたのです。
ことばの習(xí)得に必要な3要素
中學(xué)校での文法指導(dǎo)について考えるときには，ことばの習(xí)得に必要な3要素を念頭に置いておくことがとても大切です。
言語習(xí)得の3要素
●形式(form) 「どのように」
文法規(guī)則?語彙?イディオム?発音?綴りなど
●意味(meaning) 「何を」
トピック?テーマ?メッセージなど
●機(jī)能(function)
「いつ」「どこで」「何のために」
コンテクスト?狀況?使用目的など
（Larsen-Freeman D.(2001)をもとに筆者が作成）
言語習(xí)得の3要素のうち，どれか1つでも欠けてしまうと，ことばの習(xí)得はうまく進(jìn)まず，コミュニケーション能力の育成が非常に難しくなると言われています。
中學(xué)校の英語授業(yè)の大きな課題の1つに，語彙や文法事項(xiàng)など，學(xué)んだことを知識(shí)として生徒に身につけさせることへ過度に意識(shí)が向かってしまうということがあります。特徴的なのが，文法事項(xiàng)の説明が多く，機(jī)械的な反復(fù)練習(xí)やあらかじめ決められたフレームに沿って會(huì)話する練習(xí)に終始してしまうという傾向です。こうした授業(yè)では，上述の3要素のうち，「形式」「意味」の2つはカバーされますが，「機(jī)能」についてはあまり意識(shí)されません。したがって，學(xué)んでいる文法事項(xiàng)は「いつ」「どこで」「何のために」使われるのか，生徒は理解できません。授業(yè)は練習(xí)のための練習(xí)の場(chǎng)となり，その目的も，學(xué)習(xí)したことを身につけることになってしまいます。これでは，「生徒の気づきを引き出すことなく文法事項(xiàng)を教え込む」ことになってしまいかねません。
こうした課題を克服するための鍵は，生徒が新出文法事項(xiàng)と出合うとき，それが「いつ」「どこで」「何のために」使われるのかという「機(jī)能」，特にコンテクストを大切にすることです。
文法事項(xiàng)との出合いをプロデュースするScenes
令和3年度版SUNSHINEでは，各課（PROGRAM）の最初に，新たにScenesというコーナーを設(shè)けました。
これは，2年生のPROGRAM 3のScenesです。このPROGRAMでは，to不定詞の3つの用法および動(dòng)名詞について學(xué)ぶことになりますが，それぞれが「いつ」「どこで」「何のために」使われるのか，そのコンテクストがマンガを通して體感的に理解できるようになっています。
Scenes（2年 ｐ.30より）
平成28年度版のSUNSHINEでは，PROGRAMの各セクションの最初にBasic Dialogが置かれていました。Basic Dialogは，新出文法事項(xiàng)を含んだ文を1つだけ示すのではなく，會(huì)話の流れとして示すことで，コンテクストが表現(xiàn)されるように企図されたものでした。令和3年度版SUNSHINEのScenesではマンガを取り入れ，登場(chǎng)人物たちが実際にやり取りをする様子も示すことで，コンテクストがさらに伝わるように工夫されています。
Scenesの具體的な活用方法
Scenesでは，各課で學(xué)ぶ新出文法事項(xiàng)が臺(tái)詞に埋め込まれたマンガがセクション數(shù)分用意され，1つのページに集められています。PROGRAMの最初に全て集められているからといって，その全てを一気に扱う必要はありません。1つのマンガを?qū)毪筏郡椋疚膜?セクション扱うというように進(jìn)めても構(gòu)いません。Scenesのマンガのストーリーや扱われている文法事項(xiàng)を考慮しながら，柔軟にカスタマイズして活用することができます。
授業(yè)展開例（內(nèi)容解説資料 ｐ.7より）
ではここから，2年生のPROGRAM 3のScenesを取り上げて，指導(dǎo)の具體例を紹介していきます。
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 PROGRAM 3 セクション1（2年 p.30より） |
PROGRAM 3 セクション1 Listen，Speak & Write （2年 p.31より） |
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例えば，セクション1を?qū)毪工毪趣卫颏ⅳ菠皮撙蓼筏绀Α?/p>
【パターン① マンガを先に示す例】T:Teacher S:Student
| T | Look at the scene of Section 1. Listen to the dialog. （音聲を流す） |
| T | What are the boy and the girl talking about? |
| S1 | Club. |
| T | Club. What club? |
| S2 | Dance club. |
| T | Yes. The dance club. The girl with the yellow T-shirt is in the dance club. What does she like? |
| S3 | She likes hip-hop dance. |
| T | That's right. She likes hip-hop dance. Then, what does the boy want to do? |
| S4 | He want... |
| T | He wants to... |
| S4 | He wants to see... |
| T | her... |
| S4 | He wants to see her performance. |
| T | That's right. By the way, what club are you in, S4? |
| S4 | I'm in the brass band club. |
| T | Oh, the brass band club. That's great. S5, you're a good friend of S4, right? |
| S5 | Yes. |
| T | I want to see S4's performance. What do you want to see? |
| S5 | I want to see the concert. |
| T | That's wonderful. I want to see it too. |
【パターン② マンガを後に示す例】T:Teacher S:Student
| T | When I was a junior high school student, I was in the basketball team. |
| S1 | Really? |
| T | Yes. I was good at basketball, but now I'm not sure.... |
| Ss | （笑い） |
| T | By the way, S2, what club are you in? |
| S2 | I'm in the truck and field team. |
| T | Oh, the track and field team. That's great. S2, can you run fast? |
| S2 | Well, yes, but a little. |
| T | Oh, don’t be shy. You’re a very good runner. I know! I want to see your race. |
| S2 | Thank you. |
| T | S3, what club are you in? |
| S3 | I'm in the volleyball team. |
| T | You're in the volleyball team. That's cool. I want to see your performance. S4, what do you want to see? |
| S4 | Her volleyball game. |
| T | You want to see her volleyball match? |
| S4 | Yes. I want to see her volleyball match. |
| T | Me too! Then, I'd like you to listen to a dialog. You'll listen to a dialog between a boy and a girl. What are they talking about? （音聲を流す） |
| T | What are they talking about? S5? |
| S5 | Dance club. |
| T | Yes. The dance club. Who is in the dance club? |
| S5 | Girl. |
| T | Yes. The girl is in the dance club. What does she like? |
| S5 | She likes hip-hop dance. |
| T | Yes. Do you like it too? |
| S6 | So-so. |
| T | What does the boy want to see, S7? |
| S7 | Her performance. |
| T | He wants to see her performance. OK, now, open your textbook to page 30. Look at the scene of Section 1. Now listen to the dialog once again. |
このように，マンガを先に扱っても後に扱っても，先生方の普段の指導(dǎo)スタイルに応じて活用することができます。
Scenesのねらいは，生徒たちと新出文法事項(xiàng)（ここではto不定詞の名詞的用法）とを，自然なコンテクストの中で出合わせることです。
2つの指導(dǎo)例（Small Talk）も，本稿の最初で紹介した小學(xué)校の授業(yè)のSmall Talkに近く，生徒にとって身近なトピックを扱いながら，意味のある自然なコンテクストの中で，くり返し文法事項(xiàng)に觸れさせるようにしていることがわかります。
Scenesを使って文法事項(xiàng)に觸れさせたあとは，その右側(cè)のページのListenやSpeak & Writeへと進(jìn)みましょう。生徒たちの「聞くこと」「話すこと」「書くこと」の技能を統(tǒng)合的に活用させ，コミュニケーションの中で文法事項(xiàng)を使った即興のやり取りができるようになっています。ここでは，機(jī)械的な反復(fù)練習(xí)とは違い，即興のやり取りができる力を段階的に身につけさせることができるのです。この段階では，生徒に誤りなく完全な形でやり取りをすることを求めるのではなく，まずは生徒自身が言いたいと思っていることを表現(xiàn)させるようにしましょう。生徒が誤った表現(xiàn)を使っていることに気づいたら，その発話を適切な表現(xiàn)に言いかえて伝えるなどのサポートをしましょう。誤りを過度に気にしてしまうと，生徒は英語を口にするのをためらうようになってしまいます。まずは生き生きとやり取りする生徒の姿を引き出すようにしましょう。
PROGRAMの學(xué)習(xí)の出口，「英語のしくみ」
各PROGRAMの最後に置かれているのが「英語のしくみ」です。そのPROGRAMで學(xué)んだ文法事項(xiàng)について，わかりやすく整理されています。
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英語のしくみ （2年 p.37より） |
「英語のしくみ」の具體的な活用方法
「英語のしくみ」を扱うときに留意することは，そのPROGRAMで學(xué)習(xí)した文法事項(xiàng)について，「先生がただ解説をして終わらない」ということです。取り上げられている例文を生徒に示し，どのような意味になるのかたずねるようにしましょう。生徒が気づき，學(xué)んだことを言語化させることで，一人ひとりの理解狀況を把握することにもつながります。個(gè)別に答えさせる前に，一緒にやり取りをしてきたクラスメイトと話し合う時(shí)間を取るようにすると，協(xié)働的な學(xué)びの機(jī)會(huì)にもなります。
例文がどのような「意味」になるのか，また，その「意味」を表すためにどのような「形式」が使われているのか，生徒自身の気づき?理解を言語化させながら，確認(rèn)していきましょう。
生徒の発言を受け止めたら，最後は先生が改めて文法事項(xiàng)について整理し，まとめていきます。先生の話を聞きながら，生徒たちは自分たちの気づきや理解について確認(rèn)することができるのです。自分の気づきや理解が正しいことがわかると，その後の學(xué)習(xí)に向けての自信を得ることにもつながっていきます。
本稿では，「コミュニケーションを支える文法指導(dǎo)」として，令和3年度版SUNSHINE ENGLISH COURSEのScenesと「英語のしくみ」とを相互に結(jié)びつけた指導(dǎo)の具體例を紹介してきました。ことばの習(xí)得過程とも親和性が高く，生徒のコミュニケーション能力を最大限に高めることができるSUNSHINE ENGLISH COURSEをぜひご活用ください。
●參考文獻(xiàn)
Larsen-Freeman D. (2001). Teaching grammar. In: Celce-Murcia M. (eds) Teaching English as a Second or Foreign Language. Boston: Heinle & Heinle
田村 岳充（たむら たかみつ）
宇都宮大學(xué)大學(xué)院教育學(xué)研究科専門職學(xué)位課程教育実踐高度化専攻（教職大學(xué)院）助教。宇都宮市內(nèi)の公立中學(xué)校で７年間勤務(wù)した後，2001年度から在外教育施設(shè)派遣（フィリピン?マニラ日本人學(xué)校）を経て，2009年度から2017年度まで宇都宮大學(xué)教育學(xué)部附屬中學(xué)校に勤務(wù)。2018年度から2年間，宇都宮大學(xué)教育學(xué)部人文社會(huì)系英語分野で勤務(wù)した後，現(xiàn)職。2017，2018年度NHKラジオ『基礎(chǔ)英語2』，2019，2020年度『基礎(chǔ)英語1』講師。
「中學(xué)校を離れ，中學(xué)校での授業(yè)ができなくなった今，自分を支えているのは，先生になりたいと願(yuàn)ってがんばっている學(xué)生たちとの學(xué)び合い，そして，よりよい授業(yè)づくりを目指してがんばろうとしている先生方のサポートです。授業(yè)って難しい，でも楽しい！いつも子どもを真ん中に！」
主な著書
『イラストで覚える中１の英単語500』（NHK出版），『小?中の授業(yè)をつなぐ! 教室英語使い方ガイド&フレーズ集（新時(shí)代の英語教育シリーズ）』（明治図書），『聞く?話す?読む?書く 4技能を高める! コミュニカティヴ?ワーク37（授業(yè)をグーンと楽しくする英語教材シリーズ）』（明治図書），NHKラジオ講座『基礎(chǔ)英語2』（2017，2018年度），『基礎(chǔ)英語1』（2019年度～）番組講師など。