令和3年度から完全実施される中學(xué)校學(xué)習(xí)指導(dǎo)要領(lǐng)の解説「外國語編」では「即興」という言葉が27回使用され，「話すこと（発表）」については「暗唱ではなく即興」というステップアップした目標(biāo)設(shè)定がなされました。以下に一部を引用します（下線は筆者による）。

　SUNSHINE ENGLISH COURSEのパフォーマンス活動(dòng)My Projectは，「スピーチ原稿の作成 → 原稿を暗記 → 聲の大きさ，ジェスチャーの使い方を意識して発表」の流れで行うprepared speechの活動(dòng)です。その流れの中で，他の生徒の英文を読んで參考にしたり，他の生徒に日本語や英語で助言したりする（協(xié)働）活動(dòng)を行ってきました。

　しかし，新學(xué)習(xí)指導(dǎo)要領(lǐng)では，小學(xué)校でそれがある程度実施されます。そして，中學(xué)校では「発表」の重點(diǎn)が「即興」にシフトし，目標(biāo)が「暗唱」ではなく「即興で話す」力の育成になりました。即興力を育成するには，學(xué)習(xí)指導(dǎo)要領(lǐng)解説にもあるように「１年生から即興で話す活動(dòng)に継続的に取り組ませる」ということに盡きますが，本稿では具體的にどのように取り組んでいくと話せるようになるのかを私の実踐を交えてご紹介します。

即興力を高める活動(dòng)を毎時(shí)間行う　―英語を話す場面をつくる―

　教室には，英語の授業(yè)が「好き／嫌い」，「得意／不得意」，「意欲的／消極的」など多様な生徒がおり，日々苦労しながら指導(dǎo)しています。しかし，授業(yè)の始めに帯活動(dòng)としてペアやグループで行う即興の発話活動(dòng)をすると，多くの生徒がいきいきと活動(dòng)します。

　「1分間chat」，「１分間speech」などは時(shí)間もかからないので，教師中心の授業(yè)を生徒中心の取り組みへと手軽に転換できます。生徒指導(dǎo)がかなり困難な學(xué)級でない限り，生徒たちは「パートナーをないがしろにしてはいけない」と感じ，全員が意欲的に取り組み始めます。また，英語でやり取りする楽しさを見出すことで発話が活発になり，その時(shí)間の授業(yè)全體が意欲的な雰囲気に包まれていきます。

　そのときに，生徒のレベルにぴったり合うトピックを選ぶようにすると，生徒はどんどん話すようになります。これを毎回の授業(yè)で數(shù)分行うだけで，生徒たちは英語を話すことに慣れ，英語が苦手な生徒や間違いを恐れてあまり話したがらない生徒も，クラスの雰囲気に影響されて話すようになっていきます。習(xí)うより慣れることが重要なのです。

　私は1年生の最初の授業(yè)で「1分間chat」を行っています。Hello, how are you? で始めて，Thank you for talking. で終わる練習(xí)をしたら，すぐに活動(dòng)を開始します。小學(xué)校で學(xué)んだ表現(xiàn)にはDo you～?, Can you～? など，ある程度の蓄積があります。1分間では長いと感じる場合は30秒から始めると，難易度が下がって取り組みやすくなります。

　そして，1學(xué)期が終わる頃，My Project 1で自己紹介をします。それが終わったタイミングで帯活動(dòng)を「1分間speech」に変えます。My Project 1で発表した內(nèi)容をスピーチしても１分間もかからないので，既習(xí)表現(xiàn)の I [don’t] like ～. やその他の一般動(dòng)詞などを使った文を即興で加えて話させます。この「50%即興のスピーキング活動(dòng)」を授業(yè)に加えると，「100%即興のスピーキング活動(dòng)」への準(zhǔn)備にもなります。また，生徒が話しやすくなる足場掛けとしては，活動(dòng)前に１分間のplanning timeを設(shè)定する，活動(dòng)前?中?後に「英語で言いたいけど言えなかったこと」を調(diào)べたり指導(dǎo)したりする，よく使う語彙や表現(xiàn)を提示したりすることなどが考えられます。

雰囲気づくりと修正feedback　―生徒が理解可能な英語を聞かせて基礎(chǔ)をつくる―

　授業(yè)の最初にあいさつをしたあと，続けて「昨日の出來事」，「ニュースで話題になったこと」などを英語で話します。関連する質(zhì)問を生徒に投げかけると，多くの生徒は頭の中で質(zhì)問に対する答え方をリハーサルします。そして，対話の仕方を?qū)Wんでいきます。教師が既習(xí)事項(xiàng)をフルに活用して生徒が理解可能な程度の英語で話すと，生徒は聞く気になり，聞く力を高めていきます。それがSmall Talkやchatのモデルにもなります。

　また，生徒とのQ&Aで，T: What did you eat for breakfast this morning?　 S: I eat cereal. 　T: You ate cereal. 　Was it good? のように，最初は暗黙的なfeedbackで修正し，良好な関係ができたら明示的に「I eat じゃなくて I ate」と修正すると，多くの生徒にとってaccuracyを高める気づきになります。

　教師のSmall Talkや生徒とのQ&Aなど，自然な流れの中で英語をたくさん使うことで英語を話すことへの抵抗感を低減し，英語を話すのが普通だという雰囲気にしましょう。その小さな積み重ねが最終的には即興のスピーチ，ディベート，ディスカッションへとつながっていきます。

學(xué)んだ表現(xiàn)をくり返し使用する場面をつくる　―モデルを示して発展させる―

　SUNSHINEでは新出表現(xiàn)を?qū)Wぶとき，Listen，Speak，Tryの3つの活動(dòng)が位置づけられています。Listenではその表現(xiàn)を聞くことで理解?確認(rèn)し，Speakではその形式をきちんと理解して正確に使えるようにする（accuracyを高める）ための練習(xí)を行い，Tryではある程度トピックの使用場面を限定し，即興で自由に使える前段階を目指しています（fluencyを高める）。

　次の段階で生徒に練習(xí)させたいのが，その新しく學(xué)んだ表現(xiàn)を使って，自分の身近なトピックについて即興で自由に話す活動(dòng)です。それを行うベストタイミングは，新出表現(xiàn)を?qū)W習(xí)した次の授業(yè)で行う「１分間chat / speech」です。學(xué)んだ表現(xiàn)を忘れてしまった生徒には，適度な時(shí)間をあけての復(fù)習(xí)は印象深く思い出すチャンスにもなり，また，初出ではなく使い慣れ始めた表現(xiàn)なので，前の授業(yè)よりも使いやすくなります。このタイミングでの復(fù)習(xí)と発話は本當(dāng)に大切です。

　例えば前時(shí)に一般動(dòng)詞の過去形を?qū)Wんだ場合，翌日の授業(yè)では「yesterday」というトピックで「１分間speech」を行います。ヒントになるものやモデルを與えないでこれを行うと，

このような単なる過去の出來事の羅列になってしまいます。英語が苦手な生徒にとっての學(xué)びとしては許容できますが，誰かに伝える文章としては不自然です。これを避けるために，生徒が発話しやすいようにヒントとなる語彙や資料を提示し，足場掛けをします。以下のように，スピーチを広げる構(gòu)成のモデル（２年生My Project 5の內(nèi)容を先取り）をプリントやスクリーンに提示し，これを意識させ，毎回の授業(yè)でくり返し発話させながらaccuracyとfluencyを高めていきます。

　特別な教材を使わず，教科書の進(jìn)度に即した內(nèi)容で１分間の発話活動(dòng)を行える流れを，本稿の最後に提示しますのでご覧ください。このようなものがあると３年間を通して取り組みやすくなります。そして，My Projectの內(nèi)容を即興のスピーチで1，２週間前から行っておくと，My Projectの際に短時(shí)間で英文を作れるようになります。

反応しながらスピーチを聞く練習(xí)で更なる発展を　―発表力，対話力を高める―

　SUNSHINEでは，２年生の１學(xué)期末にMy Project 4で「対話のつなぎ方」を?qū)W習(xí)します。「くり返し?相づち」「質(zhì)問」「意見?感想」は，自然なコミュニケーションには必須のものです。しかし，ここで學(xué)んでもそれ以降使わなければ，本當(dāng)に使えるという狀態(tài)にはなりません。

　そこで，「１分間speech」を行うとき，パートナーの話す內(nèi)容に対して，それらを使って反応しながら聞くように促します。すると，聞く側(cè)も能動(dòng)的に聞くようになり，話す側(cè)も話しやすくなります。話を聞いたその場で質(zhì)問することは難易度が高いのですが，日常的に取り組んでいると質(zhì)問しやすくなり，普段の會話やミニディベートなどの意見交換の場でも使えるスキルの練習(xí)になります。chatとspeechの中間に位置するこの活動(dòng)は，1人で長めに話すトレーニングになるので，制限時(shí)間を90秒に伸ばすなどして難易度を高めると，3年生になっても発展的に継続することができます。

おわりに

　教科書はいろいろな制約があるため，掲載できないことが意外と多くあります。例えるなら，豪華に完成された料理というよりも，あとひと手間で完成する手前の狀態(tài)と言えるかもしれません。そして，そのひと手間（どんなスパイスを加えるのか？煮るのか？焼くのか？）を，目の前の生徒たちにぴったりフィットさせると素晴らしい授業(yè)ができあがります。教科書から離れた一見華やかな投げ込み教材を使用して短期的に即興力を伸ばす試みよりは，各學(xué)年のゴールを目指して日々の「教科書の內(nèi)容+α」で少しずつスピーキング活動(dòng)を著実に積み上げていくほうが，教科書の內(nèi)容を深く學(xué)びながら，時(shí)間を無駄にせず，進(jìn)度も気にすることなく生徒の力を高めることができるのです。「教科書を教えるのではなく，教科書で教える」これは，今も昔も変わらぬ大切なことだと思います。

 

資料 3年間の主な1分間chat / speechの流れ

即興力を高めるスピーキング活動(dòng)（略案）

※トピックは，スポーツ，音楽，映畫，テレビ番組，學(xué)校行事，休日の計(jì)畫，日常の出來事など，身の回りのことで生徒が関心をもちそうなことを選択する。

※話してから書かせると時(shí)間をかけて文章を書くので正確性を高めようとしていた。